注文住宅の費用相場はどのくらい?予算のたてかたと予算別に見る注文住宅の特徴とは
注文住宅の費用相場と予算の目安
注文住宅の建築費用の目安は、全国平均では土地代を含めて5,400万円、建物のみで3,900万円となっています。
しかし実際は、住宅のグレードだけでなく、建てる地域や延べ床面積などでも大きく変わってきます。したがって、費用の目安はあくまでも目安であり、例え予算をオーバーする場合でも簡単に諦めてしまうのは早計です。
多くの方が、ある程度の予算を決めてできる限り理想に近いマイホームを実現したいと願うでしょう。そのためにも、まずは細かな費用相場を把握し、注文住宅にかかる費用の内訳や無理なく建てられる予算の決め方を踏まえて、自分達に合った住まいを見つけることが大切です。
注文住宅にかかる主な費用内訳
注文住宅にかかる主な費用は、大きく分けて以下の3つです。
・土地取得費用
・建築費用
・諸費用
土地取得費用
土地取得費用とは、土地の購入時に支払う費用のことを指します。手付金、購入物件の残代金、購入諸費用からなり、それぞれの内訳を押さえておく必要があるでしょう。
手付金は、物件価格の5%~10%が目安です。購入物件の残代金とは、物件価格から手付金と住宅ローン借入金を差し引いた額となります。また、購入諸費用とは、土地の代金と家の工事費用を足した額の6%~10%が目安です。
これらの費用は、建築を行う工務店等に資金計画の相談ができるケースも多いため、不安な場合はよく相談して決めていきましょう。
建築費用
建築費用は、文字通り家を建てるための費用です。いくつかの段階に分けて、発生する費用の内訳を見てみましょう。
まず、工事の契約時には、工事契約金や建築確認申請費がかかります。そして、着工時には、着工金や地鎮祭の費用、上棟時に上棟式費用、中間金が発生します。家が完成し、引き渡し前には建築費の残代金と、建物の登記費用なども支払います。
諸費用
さらに諸費用として、建物の登記費用や住宅ローンの手数料・保証料、火災保険料など様々な税金・手数料も別途必要になります。
これらを踏まえ、総予算には建物代だけでなく付随する費用も含めて計画しておきましょう。
年収から考える無理のない注文住宅予算
注文住宅の購入という、人生の中でも大きな出費を前にして、どのくらいの予算を組めば良いのか迷う方も多いでしょう。大事なのは、世帯年収に見合った計画を立て、無理なく返済できるよう考えることです。
住宅ローンは何年もかけて長期に返済していくものです。長期的な視点なく背伸びした金額を借り入れてしまうと、毎月の支払いが日々の生活を圧迫しかねません。それでは、現在の年収でどのくらいの予算が適正なのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
年収の6~7倍が予算の目安になる
ざっくりとした目安として、一般的にマイホームの購入金額は年収の6~7倍程度で考えると無理がない範囲に抑えやすいとされています。
もし、年収500万円であれば、予算は3,000万円~3,500万円まで、年収400万円なら予算は2,400万円~2,800万円が指標となります。
まずは、このように計算をして、どのくらいの金額を注文住宅にかけられるのか把握しましょう。一般的な指標よりも高すぎる家を建ててしまうと、たとえ住宅ローンが借りられたとしても返済が厳しくなる恐れがあるため注意が必要です。
返済負担率から逆算する適切な借入額
住宅ローンを組む場合は、「いくらまで借りられるのか」よりも「いくらなら無理なく返せるか」で考えることが重要です。
一般的に、住宅ローンの借入可能額は年収の5~6倍程度とされています。しかし、借入可能額ギリギリまで借りてしまうと、実際は返済の負担が大きすぎて後に困るケースも多々あるため注意しましょう。
では、どの程度までなら無理なく返済できるのでしょうか。1つの目安として、返済負担率から適正な借入額を算出するという方法があります。返済負担率とは、年収に対して年間どのくらい返済するのか、その割合を指します。
無理のない返済負担率は、おおむね20%~25%以内と言われています。例えば、年収500万円の場合、年間の住宅ローン返済額は100万円~125万円までということです。すると、月々の支払いは約8.3万円~10.4万円となります。
人によっては、もう少し支払えると感じるかもしれません。しかし、将来の収入変動や急な出費の可能性も考えると、この範囲に収まる金額で設定した方が安心感は大きくなるでしょう。
住宅ローンの返済期間の設定
住宅ローンを検討する際、返済期間も大きなポイントです。返済期間が長い方が審査には通りやすくなりますが、将来何歳まで働けるのか不安に思う方も多いでしょう。注文住宅を購入する時の年齢にもよりますが、一般的には70歳までに返済が終わるように組むと老後の心配が少なくて済むでしょう。
また、誰もが住宅ローンの返済は早く済ませたいと思うでしょうが、あまりにも返済期間を短く設定するとその他の出費の際に困る可能性があります。特に、子育て世代の場合、子どもが成長するにつれ学費等の出費も増えるため、少しゆとりが持てるくらいの返済期間を設定しておいた方が良いでしょう。
予算別に見る注文住宅の価格帯と特徴
注文住宅は、建売住宅とは違い、予算に合わせて間取りや設備のグレードを調整しやすい点がメリットです。予算次第で建てられる家の規模や仕様は大きく変わってくるとも言えるでしょう。
ここでは、予算の価格帯ごとにどんな注文住宅が建てられるか、その傾向をご紹介します。※以下の金額は建物本体価格の目安です。
1,000万円台で建てられる注文住宅
1,000万円台の家は、注文住宅の平均的な建築費用に比べるとかなり予算が控えめではありますが、だからといって不可能ではありません。むしろ、シンプルを好む人には十分に満足できる住まいになる可能性もあります。
ローコスト住宅と呼ばれる、シンプルな設計にすることで、1,000万円台という低予算でもマイホームは実現します。具体的には、延床面積や設備グレードを抑えること、凹凸が少ない箱型の外観であること、規格化されている間取りプランを選ぶことなどがポイントです。
豪華な造作や無垢材のふんだんな使用などは難しいですが、あまり大きな家は必要がない場合や、老後のことも考えて掃除の範囲が狭くて済むような家にしたい場合などにはぴったりとも言えるでしょう。
2,000万円台の注文住宅
予算2,000万円台は建物のみの費用で見ると全国平均よりやや低いものの、この価格帯で注文住宅を建てている人の割合は多いです。そのため、各社から多様なプランが提案されており、限られた予算内でも間取りやデザインの選択肢は1,000万円台の家よりも広がります。
2,000万円台の注文住宅では、標準的な性能を確保しつつ部分的にこだわりを反映することも可能です。ただし、希望を詰め込みすぎると予算オーバーになりやすいため、メリハリのあるコスト配分で理想を取り入れる工夫が必要でしょう。
重点的に充実させたい箇所や、どうしてもこだわりたい部分を優先的に考えて、予算の折り合いがつく範囲で他の部分も決めていくことをおすすめします。
3,000万円台の注文住宅
予算3,000万円台は、建物のみの費用で見ると全国平均に近く、家づくりのボリュームゾーンと言われる価格帯です。最も各社のプランが充実している価格帯とも言えるでしょう。
標準的な広さと設備グレードの家が建てられるほか、予算次第では高品質な設備やこだわりの空間にもチャレンジできます。例えば3,000万円前半なら一般的な仕様でゆとりある広さの住宅、3,000万円後半になれば性能やデザインの自由度を高めた住宅と、同じ価格帯でもプラン次第で実現できる内容の幅が広がります。
4,000万円以上の注文住宅
予算4,000万円台になると、平均的な住宅よりも少し高額となるため、細部へのこだわりが実現しやすくなります。
間取りやデザインの自由度や選択肢がとても多くなり、理想に近づけやすい価格帯と言えるでしょう。
例えば、キッチンや浴室など主要設備をハイグレード品にしたり、大空間のLDKや吹き抜け、豪華な造作棚やインナーガレージを設けたりすることも可能です。
また、注文住宅ならではの贅沢な工夫を盛り込みやすいため、建築家とゼロから設計するフルオーダーも視野に入れることができます。まさに世界に一つだけのマイホームを追求できるでしょう。とことん住まいにこだわり、注文住宅のメリットを最大限に感じたい場合は、このくらいの予算も視野に入れる必要があるかもしれません。
注文住宅の予算計画で押さえておきたいポイント
最後に、注文住宅の予算計画を立てる上で知っておきたい重要ポイントをまとめてご紹介していきます。資金準備やコスト配分のコツを押さえて、予算内で満足度の高い家づくりを目指しましょう。
適切な頭金の準備と貯蓄計画
頭金があると、住宅ローンの借入金額が少なくなり、その後の返済が楽になります。頭金があるという理由で優遇される住宅ローンもあるため、できるだけ頭金は用意するのがおすすめです。
頭金の理想額は、住宅購入にかかる費用の20%以上だと言われています。この金額が用意できないからといって、住宅ローンが組めないわけではありませんが、登記費用や税金などの諸費用の負担を考えるとこのくらいの金額がある方が望ましいでしょう。
しかし、貯蓄をすべて頭金に使ってしまうのは危険です。生活予備費や、子どもの教育資金など、ある程度の貯蓄は残しておく必要があります。生活予備費として、どのくらいの金額を残せば良いのかについては、以下が目安となります。
・個人事業主は1年分の年収程度
・会社員は月収の3ヶ月~6ヶ月程度
頭金の用意は、これらの目安を参考にして、無理のない範囲で準備し余裕をもって資金計画を立てていきましょう。
希望の優先順位を決めて賢くコスト配分
理想の住宅を思い浮かべると、キリがないかもしれません。予算に限りがあると、どうしても理想が全て叶うとは限らないことも踏まえて、メリハリをつけてコスト配分を考えることも大事です。
まずは、家族で話し合って、自分達の暮らしで何を優先したいのか決めましょう。例えば、住宅性能を重視して耐震性や断熱性の高い家にしたい、キッチンのデザインにこだわりたい、など、色々な希望があるはずです。こうした希望に順位をつけていくと、何を優先すべきなのか見えてきます。
もし、優先順位をつけても予算との折り合いがつきにくい場合は、家の大きさや形状を考え直すのも有効です。例えば延床面積を必要最小限に抑え、建物の形をシンプルな総二階建てにすることで、外壁や屋根の面積を減らし建築費を節約できます。このように予算内で実現したい点と削れる点を見極めれば、限られた予算でも納得のいく家づくりが可能になります。
住まいのプロでないと分からない部分も多いため、積極的に希望を伝え相談しながら決めていくことをおすすめします。
複数の見積もりで適正予算を見極める
注文住宅の費用は依頼先の住宅会社やプラン内容によって大きく異なります。はじめから一社に絞るのではなく、必ず複数社から見積もりを取り比較検討しましょう。
また、建物本体価格だけでなく、含まれる工事範囲やアフターサービスの有無などもしっかり確認することが重要です。単に一番安い会社に飛びつくのではなく、提示された価格に対してどんな品質・保証が得られるのかを見極めて、自分たちに合ったコストパフォーマンスの良い住宅会社を選ぶようにしてください。
まとめ
注文住宅にかかる費用は、仕様や条件によって幅があります。予算が控えめであっても建てることは可能で、シンプルを好む人などには低価格帯の注文住宅でも満足のいくマイホームは実現できるでしょう。
これから注文住宅の購入を考える場合は、平均相場や年収から見た目安を参考にしましょう。おおよその適正予算を把握して、無理のない資金計画で予算を設定することが大事です。
信頼できる住宅会社と共に賢くプランニングすれば、予算内でも満足度の高い理想のマイホームを実現できるでしょう。長く快適に暮らせる家づくりのために、価格と品質のバランスが取れた計画を心がけてください。